「ヴィクトリアン・ヌードー19は紀英国のモラルと芸術一」は、2001年にリニューアル・オープンを迎えたイギリスを代表する美術館テイト・ブリテンの、グランド・オープニングを飾った展覧会です。その後、2002年にミュンヘン、ニューヨークと巡回して好評を博し、本年、よそおいも新たに神戸と東京で開催されるはこびとなりました。ヴィクトリア朝(1837-1901年）時代のイギリスは産業革命による生産力の向上を背景に、政治・経済・文化的に大きく繁栄した時代でした。その活気はディケンズやオスカー・ワイルドなど文学の興隆を生んだばかりでなく、イギリスの美術にもひとつの黄金時代を築きました。しかしながら我が国ではこれまで、ラファエル前派などその一部が知られているにすぎません。本展覧会は、19世紀の繁栄の時代にイギリス美術がどのように変容し大衆に受容されていったかを、「ヌード！という視点から検証し、ヴィクトリア朝美術の魅力を再認識しようとする試みです。出品作品は、ロイヤル・アカデミーの頂点に立った画家レイトンの＜プシュケの水浴）、妖艶な美しさで見る人にせまるロセッティのヴェヌス・ヴェルティコルデイア）などの油彩画をはじめ、この時代に急速な技術革新をとげた写真や映画を含む約100点で、多様多彩なスード作品で構成されています。人体美を表現する伝統の継承と革新を見比べながら、人間美の世界とイギリス美術の新鮮な魅力を鑑賞できる買重な機会となりましょう。最後になりましたが、本展覧会を開催するにあたり、費重な作品を出品してくださいましたテイト・ブリテンをはじめ、所蔵者、関係各位に厚く御礼を申しあげます。2003年